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fujimakとの仕事

「使う人を思い遣る心」に共感

高橋 恒雄シェフ(たかはし塾)

皇居の厨房改装で求めた理想

私は1965(昭和40)年から宮内庁大膳課に奉職し、三代の天皇家に47年間お仕えしてきました。1969(昭和44)年に皇居・新宮殿が完成し厨房も新しくなりました。この厨房はフジマック製で、とてもよくできた厨房でしたが、30年使い続けて給排水設備の交換が必要になり、厨房機器を含めた厨房全体を改装することになりました。当時、副主厨長だった私が今までの経験を活かし改装工事を担当しました。この改装工事を通じて、フジマックさんの対応のすばらしさを実感することとなりました。

改装にあたって、担当部局である工務課に対して細かい要望を数多く出しました。30年使い続けて気が付いたことを、折角の機会なので新たな厨房に反映させたいと思ったからです。工事担当のフジマックさんの担当者とも毎日のように検討しました。実現できないことを要求しても仕方がないので、打ち合わせは綿密におこないました。以前の厨房では、床面に直接調理台やガス機器等を設置していましたが、そうすると床と器具の間にどうしても1~2㎜の隙間ができてしまいます。毎日丁寧にモップ掛けをしているのですが、この隙間にごみがたまるのではないか、入ったごみが湿って不衛生になるのではないかとの懸念があり、この機会に隙間をなくしたいと考えていました。そこで器具を床面に直接置くのではなく、設置部分にだけは約10cmのコンクリートのベースを敷き、ごみや水が器具の下に入らない構造にしました。さらにはベースの側面と床面の境界にもごみがたまらないように丸みを持たせ、その上に床材の一種である長尺シートを床面からベース側面まで連続して一体となるように張ってもらい、隙間をなくすことにしました。こうすることで隙間を気にすることなく、全面をきれいにモップ掛けできるようにしました。

他の施設や設備にも、衛生的な環境を確保するための施工をお願いしました。戸棚の内側は全てステンレスの内張をして、壁面と底面のつなぎ目部分には全て丸みを付けました。厨房はフィルターを通してきれいな空気が循環していますが、どうしても小麦粉などを使用するため粉が飛び、戸棚などにも入ってしまいます。そのような場合でも掃除もしやすく衛生的です。

引き出しは、ホテルパンがセットできるようにしました。ホテルパン自体、底が丸みを帯びているのでごみがたまりにくく、簡単に外して丸洗いできるからです。扉のヒンジにも工夫を加え、扉そのものを上へ引き抜ける構造にしました。さらに引き違い戸は、レール部分にごみがたまりやすい構造なので採用せず、ドアタイプにすることにしました。ドアにはハンドルはつけず、代わりにドアの端を加工して折り曲げ、取っ手状にすることで開閉できるようにしてもらいました。ドアの内側にも裏張りをして段差がないものにしました。こうすることでできる限り凹凸を少なくすることができました。熱源はガスと電気の二本立てにしました。これは万が一の時の対応もできるように、そして若い人たちがどちらの熱源でも調理できるように育ってほしいと思うからです。

その他細かいことも沢山お願いしたのですが、紹介したのはその一部です。戸棚は鍋やフライパンなど全ての調理器具が収納できるよう、そして使い勝手の良いように前述の方法で作りましたが、作業が終わると厨房には何一つ調理器具が無い、そんな理想の厨房になりました。当時としてはかなり進んだ厨房に仕上がったと思います。あれから20年以上たち今回のインタビューで懐かしく思い出されます。

打てば響く、120%の仕上がり

料理で大切なのは、思い遣る心です。天皇家にお仕えし、思い遣る心の大切さを歴代の両陛下から教えていただきました。料理はお召し上がりになる方の立場に立ってどのようにしたらよいかを考え、そして素材を最大限に活かしてあげるにはどう調理するかを考えることです。その思い遣る心が大切です。

厨房機器や設計も同じです。フジマックさんに技術力があることは十分に承知しています。こちらの思いは直接技術者に伝えられませんが、担当してくださった方がこちらの思いを伝え、また加工を担当した方たちの職人としてのプライドがこちらの思い以上の物を作ってくださり、感謝しています。たとえば、引き出しを外して洗うときなどに手を切ることのないように、細かいところまで配慮されていました。思い遣りある製品に仕上げてくださり、道は違っても職人としてのプライドを感じ、とても共感でき嬉しかったです。

スタッフの皆さんの誠実な対応といい、本当にすばらしいです。「打てば響く」とでも申しましょうか。「こうしたい」という依頼主の意思が通じて、その解決策を一緒に考えてくれて、願いを実現してくれたのです。またアフターメンテナンスの対応も早く、本当に信頼をおいていました。厨房を作られる方はフジマックさんにじっくりとこちらの思いを伝え、専門的なアドバイスをいただきながら相談し進められるとよろしいかと思います。

高橋 恒雄(たかはし・つねお)シェフ

1943年群馬県生まれ。65年に宮内庁大膳課に入り、主厨長として定年を向かえた後、引き続き侍従食嘱託として3年間奉職する。「天皇の料理番」として小説やテレビドラマで注目された秋山徳蔵氏の最後の弟子。現在は、料理の楽しさやすばらしさを伝える「たかはし塾」を主宰し、全国を飛び回るほか、「ボランティア集結を応援する会」「復活応援フェニックス」など、東北の被災地を支援する活動を積極的に行っている。コロナ禍においては、子供食堂などにお菓子や簡単料理のレシピ本などを送る活動に取り組んでいる。

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