お客様事例1864.
料理の「これから」を生み出す、客席と一体感のあるオープンキッチン
オープンキッチンの「1864.」店内。L字カウンターと個室(写真左)が厨房を囲むレイアウトです
東京・銀座7丁目。日本を代表する商業地に、「新しい食のよろこび」を提案するモダンフレンチが開業しました。世界的な空間デザイナーを起用したインテリアの一部として、美しいオープンキッチンが組み込まれています。美しいだけでなく、銀座のグランメゾンで活躍してきたシェフのノウハウが反映された、機能性に優れたオープンキッチンでもあります。
会員制レストランを
全面リニューアル
- ガストロノミー エグゼクティブオフィサーの鈴木真様は株式会社資生堂パーラーのご出身で、2013年から2020年に同社の代表取締役社長をお務めになりました
「さまざまな仕事がある中で、調理は、その場で、しかも自分の手元で“新しいもの”をつくることができる分野です。グランメゾンとは異なるライブ感ある空間で、お客様とのコミュニケーションを通して、料理の『これから』を追いかけていきます」(株式会社福原コーポレーションの鈴木真ガストロノミー エグゼクティブオフィサー)。東京・銀座7丁目。銀座中央通りと花椿(はなつばき)通りが交わる位置に建つ「FUKUHARA GINZA」ビルの地下に、2026年2月13日、オープンキッチンのモダンフレンチレストラン「1864.」がグランドオープンしました。客席はカウンター席8席と個室1室(6席)。2011年開業の会員制ステーキハウス「1864」を全面リニューアルした店舗で、数カ月間のプレオープン期間を経てグランドオープンを迎えました。
経営は株式会社福原コーポレーションです。1921(大正10)年に、資生堂の初代社長である福原信三氏が「洋風調剤薬局資生堂」(現:資生堂)を、福原合名会(現:福原コーポレーション)と合資会社資生堂(現:資生堂)に分離して以来、株式会社福原コーポレーションは資生堂創業家のファミリーカンパニーとして、不動産管理や保険、クリエイティブ関連やフードサービスなどの事業を手がけながら、銀座の街とともに歴史を重ねてきました。
店名の由来である1864(元治元)年は、資生堂と福原家にとって原点とも言える、特別な意味を持つ年だそうです。この年に、資生堂の創業者・福原有信氏が出身地の千葉県館山から江戸へと旅立ち、資生堂の歴史が始まりました。
「美と健康をテーマに事業を発展させてきた資生堂は、その基礎を築いた福原有信の『西洋の文化を取り入れる』という考え方を大切にしてきました。私たちも時代とともに事業を刷新していかなければなりません。これまでの1864は、和の要素を取り入れたチャコールステーキの業態として高いご評価をいただき、経営も順調でしたが、西洋料理の原点に立ち戻り、フランス料理の店舗に転換して、これからの時代にふさわしいフランス料理を追求することにしました。今回、店名は1864に「.」を付して、「1864.」としています。これからまた新たな旅が始まるという意味を込めています。1864は会員制でしたが、1864.では幅広くお客様をお迎えします」(鈴木様)
- テーブルセッティング(上左写真)。プレートは、中心部の1864から1つずつ増えていく数字が刻まれています(下右写真)
コミュニケーションをとりながら、
“銀座キュイジーヌ”を表現
- シェフの山下泉様。長年、銀座で料理の腕を磨いてこられました
株式会社福原コーポレーションでは、1864.をモダンフレンチとしてスタートさせるにあたり、資生堂のレストラン事業の最前線で活躍してきた2人のレジェンドに白羽の矢を立てました。「1864.は、フランス料理が好き、ワインが好き、さらに料理を作ることも見ることも好きだという食通の方々とオープンキッチンでコミュニケーションをとりながら、新しい料理やサービスの形を作っていく空間です。資生堂が手がけるレストランで重責を担ってきた、経験豊かな2人に現場を託すことにしました」(鈴木様)。
シェフは、東京・銀座の三つ星レストラン「ロオジエ」の厨房に37年間立ち続けてきた山下泉様です。ジャック・ボリー氏、ブルーノ・メナール氏、オリヴィエ・シェニョン氏という歴代のフランス人シェフのもとで腕を磨いてこられました。
「福原有信の出身地である館山は、魚介類に恵まれた房総半島に位置します。この房総を中心とする日本近海の新鮮な魚介と四季の野菜を使い、お客様のご要望をお伺いしながら魚介類をおいしく召し上がっていただきたいと思います。革新は伝統の上に存在しますので、これまでの料理を封印するわけではありません。リクエストをいただければ、肉料理や私がロオジエ在籍中に考案した料理などもお出しします。ロオジエで培った経験を若いスタッフに伝えながら、この店で新しいフレンチを表現し、“銀座キュイジーヌ”と呼んでいただける料理を確立していきたいですね」(山下シェフ)
- ソムリエの中本聡文様。卓越した技能者(通称「現代の名工」)に選ばれるとともに、2019年「春の褒章」で黄綬褒章を受賞しておられます
ワインの取り揃えは、ロオジエのシェフソムリエを22年間務め、一般社団法人日本ソムリエ協会の副会長もお務めになった中本聡文様が行っています。
「資生堂創業家であるオーナーの『お魚を美味しく食べていただけるフランス料理を』という思いを大切にしながら、会員制の1864を育ててくださったお客様や、銀座を愛していただいているお客様など、多くの方々の思いにお応えできる空間をつくっていきたいと考えています。銀座の街も、時代とともに変わってきています。世界各地のグランメゾンに通い慣れたインバウンドのゲストにもご満足いただけるようにしていきたいと思います」(中本様)
客席の一体感を追求した
オープンキッチン
1864.は、会員制だった従来店舗の基本レイアウトを踏襲しつつ、空間のデザインは一新しています。「空間デザインは、東京銀座資生堂ビル11階の『Bar S』をプロデュースしてくださった、乃村工藝社A.N.D.(Art & Design Network)エグゼクティブクリエイティブディレクターの小坂竜氏にお願いしました。銀座の銀にちなんだシャンパンシルバーを基調色に、料理だけを楽しむ環境にふさわしい、上質な大人の空間を演出してくださいました」と鈴木様はおっしゃいます。
- シャンパンシルバーを基調とした店内へと続く通路(上左写真)。個室からも厨房の様子を見ることができます(下右写真)
厨房は以前もオープンキッチンでした。ただ、厨房の施工には山下シェフのご経験に基づくノウハウが反映されています。「新しい厨房づくりに携わるのはこの店舗で3回目となります。客席と一体感のある、デザイン性が高いオープンキッチンを小坂氏がデザインしてくださったので、私はfujimakの担当者とディスカッションをしながら、細かな部分で作業性の高さを追求しました」(山下シェフ)。
美しさに配慮したオープン
キッチンの施工ポイント
厨房のテーブルトップは、釉薬をかけていないセラミックを用いた特注品です。天然石に見える自然な質感が特徴で、熱に強いだけでなく、汚れがしみ込みづらく、高い機能性を有します。このテーブルの高さは、山下シェフのリクエストで床面から90cmに設定されています。「一般的な厨房よりも高めですが、腰をかがめずに作業ができます。テーブルトップと客席カウンターの高さはほぼフラットになっていて、厨房と客席の一体感を演出するのに役立っています」(山下シェフ)。
- 厨房にあるテーブルのトップと客席カウンターの高さはほぼ同じになっています
作業性を高める工夫はこれにとどまりません。ガスレンジの五徳は、一般的には鍋底を支える爪がバーナーの周囲から数本伸びていますが、1864.では、ステンレスのパイプ数本を渡した格好になっています。「ロオジエの厨房と同じスタイルです。火から外した鍋をガスレンジのどこにでも置くことができて、スペースを有効活用できます。鍋を火にかけるときも、パイプの上で鍋を滑らせるだけでよく、便利です」(山下シェフ)。
床にも工夫があります。「冷蔵庫の下に隙間があると、ゴミがたまりやすく、衛生的に好ましくありません。コンクリートベースを立ち上げて冷蔵庫の下に隙間ができないようにしてもらいました。清掃時も冷蔵庫の下に水が入り込まず、作業性が高いです」(山下シェフ)。
- 特注の五徳。ガスレンジどこにでも鍋を置くことができます(上左写真)。コンクリートベースを施工し、冷蔵庫下にゴミや水が入らないようになっています(下右写真)
- パコジェット4。主にアイスクリームづくりにお使いだそうです
厨房機器について山下シェフは、素材をピューレにする「パコジェット4」を高くご評価いただきました。「歴代の機種を使ってきましたが、これまでとは性能が明らかに違います。アイスクリームを作ると、仕上がりが本当になめらかです。今までよりも粒子が細かくなっている印象です。しかも、アイスクリームが溶けにくいです。仕上がりの違いはお客さまも実感できるレベルです。先日、私の師匠であるジャック・ボリー氏が当店で食事を召し上がった際にバニラアイスをお出ししたら、『このバニラアイス、おいしいよ』とのコメントをいただきました」(山下シェフ)。
「世界標準に対応できるのがfujimak」
ガストロノミー エグゼクティブオフィサーの鈴木様とソムリエの中本様にも、fujimakについてのご意見をお伺いしました。鈴木様はこんなエピソードをご披露くださいました。
「資生堂パーラー時代、海外からシェフを招き、グローバル基準のキッチンを整える必要がありました。多くのメーカーが厨房施工に参加したいと手を挙げました。しかし、世界における機器の知識や品質要求を満たせず、軒並みギブアップしてしまいました。このとき、最後まで残ったのは、fujimakです。効率よく、使いやすく、そして格好良く。オープンキッチンはこのすべてが揃っていることが大切です。考え方も、厨房機器のラインナップも常にグローバルを意識しているfujimakだからこそ、美しさと機能性を追求した1864.の厨房をお任せできたのだと思っています」(鈴木様)
中本様は、厨房づくりのプロセス変革に関するご期待をお寄せくださいました。
「fujimakは業態や面積、レイアウトなどの異なる多様な厨房の設計・施工実績をお持ちです。それらの豊富なデータは、AIが活用され始めた現在、貴重な資産です。その店舗に合った完成度の高い厨房設計や機器選定のプランを、AIを使って早期に提案いただけるようになると、厨房の検討に必要な時間が大幅に短縮でき、飲食店側の負荷が軽くなると思います。fujimakならそれが実現できると期待しています」(中本様)
関連製品・サービス
| 店舗名 | 1864. |
|---|---|
| 所在地 | 東京都中央区銀座7-8-10 FUKUHARA GINZA B1 |
| 席数 | カウンター8席、個室6席(1室) |
| 営業時間 | 17:30~20:00(L.O.) 22:30 close |
| 定休日 | 日曜、月曜、祝日不定休、夏季(8月中旬)、年末年始 |
| 予約専用電話 | 050-1725-8077 |
| 開業 | 2026年2月 |
| Webサイト | https://ginza1864.com/ |