お客様事例キオクシア岩手株式会社
「憩い」と「コミュニケーション」を生み出す、
開放的な社員食堂スペース

キオクシア岩手株式会社(北上市)の社員食堂にある、カフェスペース
フラッシュメモリの世界的なリーディングカンパニーであるキオクシア株式会社。そのグループ会社であるキオクシア岩手株式会社(北上市)で、2カ所目となる、約560席の社員食堂が営業を始めています。従業員の方々の憩いとコミュニケーションの場としての活用を想定した開放的な空間です。食堂内で製麺をした手打ちうどんなど、こだわりの食事メニューを提供しつつ、生産性を高める機器類を活用して、働きやすい厨房環境の整備にも力を入れておられます。
最大で1600食想定、
カフェも併設
スマートフォン、パソコンなどの電子機器、自動車や家電機器、データセンターなどにおいて、情報を記憶するための部品として欠かすことのできない半導体の一つである、フラッシュメモリ。キオクシア岩手株式会社は、2017年に株式会社東芝のメモリ事業を会社分割によって承継し、フラッシュメモリのリーディングカンパニーであるキオクシア株式会社のグループ会社です。その生産拠点であるキオクシア岩手(北上)では、フラッシュメモリの需要増加に対応すべく、2024年夏に新たな製造棟と管理棟が完成し、稼働に向けた準備を進めています。2025年春時点で、同社の就業者は2000人超。設備がフル稼働すると、就業者はさらに増えると見込まれています。
新製造棟と同時に設立された新管理棟アクシズに、最大で1600食対応、コミュニケーションスペースを兼ねた約560席の社員食堂が、同工場2カ所目の社員食堂として営業を始めました。岩手山や早池峰山を望むことができる大きな窓からは明るい光が差し込み、広々とした空間に多様な色彩やデザインの客席が配置され、カフェも併設されています。


- 社員食堂の客席。写真奥にあるカフェと一体化した開放的な空間です。他に、4人掛けテーブルを中心としたスペースもあります

- キオクシア岩手株式会社取締役総務部長の鷲津裕己様
「施設内には各階にリフレッシュスペースを設けていますが、従業員が仕事の緊張から解き放たれて、最も気持ちを休められるのは、やはり食事を伴う休憩時間です。そこで、社員食堂を中心に構成したこのフロアは、眺めの良さと開放感を大切にしながら、従業員の憩いの場として、また、カフェを併設することなどにより、コミュニケーションスペースとしても活用できるように企画しました」。こうお話しになるのは、キオクシア岩手株式会社取締役総務部長の鷲津裕己様です。
社員食堂の営業は、
朝昼晩の3食対応
この社員食堂には、憩いの場にふさわしく、「HOCCOLi」という愛称が付いています。心があたたかくなり、癒される感覚である「ほっこりとする」に由来したこの愛称は、社内公募によるものだそうです。朝食(7:00~8:30)、昼食(10:45~13:30)、晩食(19:15~19:45)の営業。どの時間帯も複数のメニューを日替わりで提供しています。社員食堂と、併設のカフェは、コントラクトフードサービス大手、エームサービス株式会社による運営です。


- 食事メニューの提供コーナー(写真左)と、併設のカフェ(写真右)。カフェでは、スターバックスのコーヒー豆を使用したドリンクを楽しむことができる「We Proudly Serve Starbucks®コーヒープログラム」を導入しています
- 食事メニューの提供コーナー(写真上)と、併設のカフェ(写真下)。カフェでは、スターバックスのコーヒー豆を使用したドリンクを楽しむことができる「We Proudly Serve Starbucks®コーヒープログラム」を導入しています
手間暇をかけた、打ちたて・
茹でたての手打ちうどん
栄養バランスを考慮した数々のメニューの中で、HOCCOLiというコンセプトに合致した、安らぎをもたらす看板メニューが、自家製麺による手打ちうどんです。火曜日から金曜日までの毎日、店舗で手打ちした、打ち立て、茹でたてのうどんを提供しています。うどんのだし汁は店舗で引いたカツオだしを使用し、種類豊富な揚げたての天ぷらを用意するなど、質の高さにこだわっています。また、水曜日と金曜日にはシンプルなかけうどんとざるうどん、火曜日と木曜日には、あんかけうどんやカレーうどんなど、趣向をこらしたメニューが登場します。


- 写真上左が、茹でたての手打ちうどん(取材日は「豚肉かき玉うどん」)とかき揚げ。写真下右が「ぶり大根」とごはん、みそ汁、副菜

- エームサービスの菊地平マネジャー
「手打ちうどんの提供は、弊社が受託している東北の事業所としては初めての試みとなります。お客様に喜んでいただいている実感がありますので、やりがいがあります」とエームサービスの菊地平マネジャーはおっしゃいます。「日々、『うどんのだし汁にアゴをもう少し加えてみようか』などと、より喜んでいただける味になるよう、工夫を重ねています。キオクシア岩手の従業員の方々は、そのわずかな違いに気付いてくださいます。お召し上がり後、わざわざ提供カウンターまで来て、『今日のうどん、おいしかったよ』などと声をかけてくださる方もいらっしゃいます」(エームサービスの菊地マネジャー)。
「手打ちうどんのように、『ここでしか食べられない』というメニューがあるのはいいですよね」と、キオクシア岩手の鷲津取締役。従業員の方々の反応については、「手打ちうどんは、スタッフの方々のトレーニングをしてまで提供をしていただいていると聞いています。こうしたこだわりや熱意が、従業員にも伝わっているのだと思います」とコメントをしてくださいました。
生産性を高める最新機器を導入し、
効率化の成果をサービス充実に振り向ける
麺の手打ちは、技術力が必要なだけでなく、より多くの人手を要する調理工程です。「茹で時間も10~13分と長めですので、手打ちうどんの提供日は、うどんコーナーに配置する人員は多くなります」(エームサービスの菊地マネジャー)。限られた人数で、こうした独自性の高いサービスを導入するためには、別のメニューや作業領域で、生産性を高めるための工夫が求められます。
キオクシア岩手の社員食堂では、生産性の向上に資する厨房機器やシステムを積極的に導入しておられます。「今後、お金をかけても人材が集まらない時代になってきます。人間でなくてもできることは、テクノロジーによる省力化・省人化を進め、人は、付加価値の高いサービスに労力をかけるというメリハリが重要になるはずです。『適正な設備投資の範囲内で』という前提はありますが、今回、生産性向上に貢献する機器やシステムを導入できるように努めました。作業性の良い環境にするため、厨房面積も可能な限り広く確保するようにしています」とキオクシア岩手の鷲津取締役はおっしゃいます。
こうした発注企業の理解と支援のもと、キオクシア岩手の社員食堂は、運営会社の施設部門とも連携しながら、fujimakが厨房の設計などをお手伝いさせていただきました。省人化を目指した設備の筆頭が、食器類の洗浄システムです。今回、キオクシア岩手の厨房に設置したコンベア式の洗浄システムは、食器の予洗いは、水流が噴射された浸漬槽の中を移動することで行われ、食器の「かき上げユニット」が組み込まれていることにより、浸漬槽から食器を取り出し、洗浄機に投入する工程までが自動で行われます。「食器洗浄は人手を要する業務の一つですが、今のところ、配置するスタッフは1人で済んでいます。洗浄ラインに食器がひっかかって洗浄作業が中断するようなこともないので効率がいいです」(エームサービスの菊地マネジャー)。
加熱機器や冷却機器も、生産性の向上を意識した製品を導入しておられます。まず、コンビオーブン。「庫内温度の立ち上がりが早く、調理時間が短縮されます。庫内温度が均一で、庫内のどこに入れてもまんべんなく焼き色がつくのもいいですね。焼き色にムラがあると、同じメニューを並べたときに見栄えが良くないので、バーナーで焼き色を付ける作業が必要になってしまいます。こうした細かい部分で完成度の高さが生産性の向上につながっています」(エームサービスの菊地マネジャー)。また、出数が多いごはんについては、設定した時間に炊飯予約が可能な電気自動炊飯器を活用しておられます。


- コンビオーブン(上左写真の左側から2台)と、炊飯予約が可能な電気自動炊飯器(下右写真)
冷却機器では、ブラストチラーを導入済みです。「業務を平準化し、スタッフが働きやすい環境を維持しながら提供時間や提供メニューの充実を図っていくために、クックチルシステムの採用も視野に入れています。加熱した食品の急速冷却が可能なブラストチラーの稼働が増えるはずです」(同)。


- 上左写真の中央がブラストチラー、その右隣が冷凍冷蔵庫。カフェには、コンビオーブンのほか、ヒータとマイクロウェーブのW加熱でスピード調理が可能なウェーブスターを導入しています。(下右写真)
今後は栄養指導などの
研修の場としても活用
人口減少に伴う生産年齢人口の減少が社会課題となっている現在、企業においては、従業員の採用や、定着率の向上などに関連する要素として、福利厚生の役割が高まっているという声を聞きます。「今、学生さんと面接をすると、仕事のやりがいに加えて、福利厚生を非常に重視していることが分かります。これは昔にはなかった印象ですね。いい生活スタイルをプライベートだけでなく、仕事場でも確保できるかどうかに重きを置いている様子がうかがえます」とキオクシア岩手の鷲津取締役はおっしゃいます。
20代の若手社員が多いキオクシア岩手の社員食堂も、こうした傾向を十分に意識したものだそうです。「ブランドの力のある、おいしいドリンクを楽しめるカフェを併設したのもこのためです。若年の方々は、学生のころから街中にカフェがある生活が当たり前になっていますので。開放的な空間で、栄養素にも配慮した特徴のあるメニューがそろっていて、カフェのドリンクを手にくつろぐこともできる食堂スペースはそう多くはないはずです。学生さんに限った話ではありませんが、お客様を館内案内する際には、こちらの社員食堂に必ず寄ります。すると、皆さん『うわーっ、いいな』とおっしゃいます。『こんなところで働きたいな』という言葉が続くことも少なくありません。それは本当に良かったと思っています」(キオクシア岩手の鷲津取締役)。
この空間をより有効に活用しながら、キオクシア岩手北上工場における魅力の一つに磨き上げていくことができるかどうかは、今後の運営次第です。「会社として、このスペースで従業員の健康や栄養に関する研修も実施していく予定です。その際は、栄養セミナーなどの実績も豊富なエームサービスさんにも協力をしていただくことになるかもしれません」と鷲津取締役。エームサービスの菊地マネジャーは、「私自身イベントごとが好きなので、今までにやったことのないメニューのイベントも実施していきたいです」と意気込みを語ってくださいました。

- キオクシア岩手の鷲津取締役(写真右)とエームサービスの菊地マネジャー(同左)
関連製品・サービス

企業名 | キオクシア岩手株式会社 |
---|---|
所在地 | 岩手県北上市北工場団地5番29号 |
Webサイト | https://www.kioxia-iwate.co.jp/ |