お客様事例SPA & HOTEL 舞浜ユーラシア
店舗リニューアルに合わせ、厨房を
「効率的・衛生的で、働きがいのあるキッチン」に再構築

明るい日差しが差し込む、レストラン「レヴァンティーナ」のエントランス
千葉県浦安市で人気のリゾート施設「SPA & HOTEL 舞浜ユーラシア」が、2026年の開業20周年を前に、調理システムの再編を含む、大規模な飲食施設のリニューアルを実施しました。「効率的かつ衛生的で、より働きがいのあるキッチン」を目指して、最先端の厨房機器の導入にも意欲的な栗本清総料理長に、高い機動力と高品質とを両立させる調理の仕組みづくりについてお話をうかがいました。
「5つ星に負けない朝食」の
提供を目指す
「武蔵野リゾートSPA & HOTEL 舞浜ユーラシア」は、JR舞浜駅から自動車で約10分の場所に立地する、天然温泉スパ施設を併設した289室のリゾートホテルです。「都心に一番近いリゾート」として2006年の開業以降、国内外から多くの利用客・宿泊客を集めてきたこの施設で、その魅力をより高めるために、順次、館内のリニューアルが進められています。
2025年4月25日、料飲部門のリニューアルの一環として、レストラン「レヴァンティーナ」が営業を始めました。88席の客席は、朝食や夕食などのビュッフェ利用を想定したエリアと、プリフィックスコースの利用を想定したエリアの大きく2ゾーンで構成されており、個室も2室用意されています。


- レストラン「レヴァンティーナ」。写真左上が主にビュッフェでの利用を想定したエリアで、写真右下が主にプリフィックスのコース料理を提供するエリアです

- 栗本清総料理長。2021年8月から総料理長をお務めです
「レヴァンティーナは、特に朝食メニューの充実に力をいれており、5つ星ホテルに負けないレベルの朝食提供を目指しています。ビュッフェでは和洋中約100種類の料理を揃えるほか、430℃の石窯で焼き上げるステーキや石窯料理などを楽しむことができます」と、施設を経営する株式会社武蔵野 料飲部 調理の責任者である栗本清総料理長はおっしゃいます。このレヴァンティーナでは、ビュッフェ以外にも、時間帯によってはアラカルトやプリフィックスのコース料理も提供しており、こうしたメニューを楽しむためのハイグレードな客席スペースも設けています。
効率性と衛生レベルの向上を期し、
セントラルキッチンを導入
SPA & HOTEL 舞浜ユーラシアの飲食施設には、レヴァンティーナのほか、館内のスパを利用なさるゲストに和洋中の料理を手ごろな価格で提供する「ポネンティオ」と、VIPルームとして利用できる「マエストラーレ」があります。今回の一連のリニューアルでは、館内の3フロアに分散していたレストランを、厨房を含め本館6階に集約し、調理のシステムを大幅に見直したそうです。


- VIPルームとして利用できる「マエストラーレ」(写真左)(写真上)とスパレストラン「ポネンティオ」(写真右)(写真下)
調理システムの見直しにおいて、柱の一つとなったのが、宴会調理を含め、すべての飲食施設の仕込みを担当するセントラルキッチンを本館6階に新設したことです。
「どのレストランも多くのお客様にご利用いただいていたため、従来は営業をしながら翌日の仕込みをする必要があり、調理スタッフの負荷が高まっていました。そこで、より効率的な運営をすること、衛生管理レベルを一層向上させることなどを目的として、セントラルキッチンですべての仕込みを行う分業制を採用し、調理マニュアルも整備しました。これにより、各レストランの調理スタッフは、営業時間中、自分の受け持ち店舗やメニューの調理に専念できるようになりました」(栗本総料理長)
新設したセントラルキッチンは、食材の汚染区域と非汚染区域を明確に分け、交差汚染が起きないよう、食材や人の動線も一方向になっています。セントラルキッチンでの仕込みは、主に宴会調理に従事していたチームが担当しているそうです。


- セントラルキッチンの動線は一方通行。冷蔵庫だけでなく、温蔵庫もパススルー式です
「誰が作っても、安全で
おいしい」を実現
セントラルキッチンや各レストランの厨房では、省力化を可能とする最新の厨房機器を数多く導入しています。テーマは、「パートさんや経験の浅い人でも調理ができるようにする」(栗本総料理長)こと。例えば、幅広い分野の料理を提供するスパレストランであるポネンティオの厨房では、麻婆豆腐やチャーハン、ナポリタンなどの調理に、回転釜で食材を炒める自動調理ロボット「I-Robo 2」を活用しています。
「I-Robo 2は、入店初日のスタッフでも操作ができるほど扱いやすいです。この機器は小口のオーダーへの対応を想定したもので、大量調理では、これとは異なる最新機器を導入しています。煮る、焼く、炒めるなど、多用途に使えるバリオ デュアルパンです。高火力で、熱の入り方が均一なのがメリットで、セントラルキッチンだけでなく、フロア内で合計3台を設置しています。若手のスタッフほど器用に使いこなしている印象です」(栗本総料理長)


- I-Robo 2。食材を投入し、パネルからメニュー名を選択すると、自動で調理が始まります(写真左)(写真上)。回転釜の洗浄機能も付いています(写真右)(写真下)
「若手がやりがいを感じ、
頑張れるキッチン」に
栗本総料理長はイタリアンの名店「バスタパスタ」での修業を経て、渡伊。星付きレストランで経験を積み、帰国後にバスタパスタのシェフを務めた後、2001年に資生堂パーラーが運営する初のイタリアン「ファロ資生堂」(現:「FARO」)のオープニングシェフを28歳の若さでお務めになりました。その後、東京・恵比寿の「ポルセッコ」では、イタリアンに鉄板焼きの要素を持ち込み、新しいスタイルのイタリアンで食通たちを魅了しました。その後も、数多くのレストランのプロデュースや立ち上げを手掛けておられます。そんな輝かしい経歴をお持ちの栗本総料理長が、SPA & HOTEL 舞浜ユーラシアのキッチンに、最新の厨房機器を採り入れている理由をうかがいました。
「私どものホテルは人材が集まっている方ですが、この先、若年人口の減少に伴って、調理スタッフの採用環境は厳しくなる一方です。そんな状況で、昔と同じような職人教育をしても若い人には受け入れられにくいでしょうし、育つまでには時間がかかります。『誰が作っても、HACCPに対応した、安全でおいしい料理を作れる』効率的な態勢づくりが欠かせません。技術の進歩によって、一定レベル以上の調理を任せられる機器が出現しているのですから、それを活用するメリットから目を背け続け、“生きた化石”になるような愚は避けなくてはならないと自戒しています」(栗本総料理長)
SPA & HOTEL 舞浜ユーラシアでは、セントラルキッチンや分業制の導入によって効率化を進める一方、VIPルームやプリフィックスコースで提供する料理は、星付きレストランに負けない味と創造性を追求していくそうです。
「今回の調理システムの変更で目指したのは、『若手がやりがいを感じ、頑張れるキッチン』の実現です。当ホテルに入職した若手は、和洋中の幅広い分野で、セントラルキッチンの仕込みから創造性の高い料理まで、調理をフルラインで覚える環境に身を置くことができるようになりました。効率化で時間に余裕が生まれる分、調理技術の面でも、高いレベルの仕事を覚える機会を作りたいです。その際、最新の機器を使いこなせれば、技術の引き出しを増やすことにつながります。例えば、冷凍した食材などをピューレにする『パコジェット4』は、アイスクリームやスムージー作りだけでなく、フォアグラを粉砕してスープに入れるというように、料理の付加価値を高める上でも役に立ちます。こうした経験を伝えながら、調理の面白さや仕事のやりがいを感じてもらいたいです」(栗本総料理長)


- バリオ デュアルパンはホテル内で3台が稼働しています(写真左)(写真上)。パコジェット4は「以前の機種に比べて音がすごく静かになっていますね」と栗本総料理長(写真右)(写真下)
「提案の完成度が最も高かったのがfujimakだった」

- レヴァンティーナの厨房には、客席から見える場所に特注のショーケースを設置し、食材の品質の高さをアピールしています
SPA & HOTEL 舞浜ユーラシアの飲食施設リニューアルにあたって、栗本総料理長は多くの厨房機器メーカーに厨房設計の提案を求めたそうです。「HACCP対応のレベルを高め、より衛生的な厨房にすること」「リゾートホテルのレストランとして、客席から見える部分は非日常を演出できる厨房にすること」などが、栗本総料理長が厨房機器メーカー各社に伝えた条件でした。
「最も完成度が高い提案をしてくれたのがfujimakでした。100%の完成度を目指す上で、初期提案の完成度が7割に満たないと、それ以上を求める気になれないものです。その点、fujimakの提案は、実現したい厨房のイメージを8割以上具体化しており、中には、私のイメージと比べて『こちらの方が絶対にいい』と思える要素もありました。fujimakに施工を任せると決めた後、一つひとつの対応が迅速だったのもよかったです」(栗本総料理長)
SPA & HOTEL 舞浜ユーラシアでは目下、2026年1月頃の再オープンに向けて、スパのリニューアル工事が進められています。レストランやスパでのリラックスした時間を求めて、より多くのお客様がこのリゾートを訪れるようになる日まで、あと約半年。「スタッフの自主性を尊重しながらお客様に喜んでいただける企画を考え、ソフト面のより一層の充実にも取り組んでいきます」と、栗本総料理長は抱負を語ってくださいました。

- 「展示会に行くと、名札を確認して来場者への対応を変える会社が大半です。しかし、fujimakは名札を確認する仕草もなく、最初から丁寧に対応してくれたのが好印象でした」(栗本総料理長)
関連製品・サービス

施設名 | SPA & HOTEL 舞浜ユーラシア |
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運営会社 | 株式会社武蔵野 |
開業 | 2006年9月 |
所在地 | 千葉県浦安市千鳥13-20 |
Webサイト | https://www.my-spa.jp/ |