お客様事例琉球ホテル&リゾート 名城ビーチ

「東洋一」を目指す、イノベーティブなリゾートホテル

鉄板ダイニング「Niji」。館内には9カ所の料飲施設があります

2022年7月に開業した「琉球ホテル&リゾート 名城ビーチ」は、観光需要が復活した沖縄において、人気急上昇中のリゾートホテルです。非日常感を満喫できる上質な空間に加え、質の高い料理や趣向を凝らした演出が、ゲストに驚きと感動を与えています。ベストな環境を目指して作り込んだ厨房や、大規模な宴会で質の高い料理をスピーディーに提供するためのシステムなども、総料理長の経験をもとにしたオリジナルです。マーケティング、ハード、オペレーション。いずれにもイノベーティブな取り組みが光る、注目のホテルです。

全443室がオーシャンビュー

小松知博総料理長。海外ホテルを含めた数々のホテル開業を支えたのち、2012年に株式会社ケン・ホテル&リゾートホールディングスに入社なさったのは、「オーナーが食を非常に大切にしているホテルグループだから」だそうです。沖縄・横浜エリア総括総料理長も務めておられます

沖縄・那覇空港から車で南に約20分。糸満市名城(なしろ)に2022年7月、「琉球ホテル&リゾート 名城ビーチ」が開業しました。全443室がオーシャンビューのリゾートホテルで、9カ所あるレストランやバーなどの料飲施設のほとんどがオープンキッチンとなっており、大規模イベントに対応可能な県内最大級の宴会場も備えています。経営は、国内外に約8900室のホテルや旅館を展開する株式会社ケン・ホテル&リゾートホールディングスです。

「コロナ禍が落ち着いてからは、V字回復という表現では足りないくらい、忙しくさせていただいています。リピーターに加え、口コミによる新規ゲストのご利用が増えています」。こう語る小松知博総料理長の言葉も弾みます。「メニューもサービスも極めて、より突き抜けた存在になっていきます。私たちの合言葉は『東洋一を目指そう』ですから」(小松総料理長)

海外ゲストが『すごい』と感じる朝食ビュッフェ

琉球ホテル&リゾート 名城ビーチには、レストランやバー・ラウンジなど9カ所の料飲施設があり、その至るところに、国内外で数多くの高級ホテル立ち上げを指揮し、食の最新情報にアンテナを張り続けている小松総料理長のノウハウが反映されています。例えば、ビュッフェダイニング「Nashiro」。宿泊客の朝食会場になっており、150種類に及ぶ豊富なメニューが人気の施設です。

「『なんとなく数が多い』ではなく、ゾーンごとに他にない要素を打ち出して、驚きを与えるようにしています。朝食は100%宿泊客、つまり他県から来たお客様がほとんどですので、沖縄県の料理や島野菜をしっかりと出します。海ぶどうは、ツルや茎の付いたまま並べて、地元ならではの楽しみ方を提案しています。サラダエリアはデパ地下の品ぞろえや彩りを徹底的に研究していますし、スムージーはその場でフレッシュなものをお作りします。旅慣れたアジアのお客様にも『すごい』と感じていただけるよう、中華の専門料理人が常駐し、中華粥を複数から選べるようにして、コンディメント(調味料・薬味)だけでも12種類をそろえています」(小松総料理長)

ビュッフェダイニング「Nashiro」のレーン。メニュー数の豊富さや華やかさに驚きの声を上げるお客様も多いそうです

逆に、ランチは大半が宿泊客ではないホテル外からのゲストで、特に、10kmあまり離れた那覇市内から足を運んでもらうためのメニュー作りを重視しているそうです。「沖縄の飲食は基本的には地産地消ですが、当ホテルのランチやディナーでは、あえて沖縄に取り入れられていない国内外の旬の食材やメニュー、海外で流行している料理を紹介するようにしています。このスタンスが大変好評です」と小松総料理長はおっしゃいます。

このほか、館内にはファインダイニング「MILANO」、創作日本料理のジャパニーズフュージョン「Kanazawa」、鉄板ダイニング「Niji」、さらにはBBQテラス、めん処、VIPプールバー、ロビーラウンジが営業しています。「Kanazawaは、純和風ではなく、ドバイなどで流行している、日本食をフュージョンで提供するスタイルを取り入れています」(小松総料理長)。

オープンキッチンのジャパニーズフュージョン「Kanazawa」。インバウンドによる利用を見込み、アラカルトメニューを充実させています

現場経験を仕様に反映した鉄板焼きレストラン

琉球ホテル&リゾート 名城ビーチの厨房には、特注品を含め、fujimakの設備や製品を数多くご採用いただきました。「福岡にあるfujimakの工場にお邪魔し、これまでの経験を踏まえた要望を直接伝え、納得のいく仕様にカスタマイズしていただきました」と小松総料理長。そのこだわりの一部を、「ナイフの使い方や盛り付け方などを含め、料理人のテクニックをしっかりと見せ、肉・魚介・野菜をワインと一緒に楽しんでいただく上質空間」(小松総料理長)という鉄板ダイニング「Niji」を例にご紹介します。

●鉄板ダイニング「Niji」のカスタマイズポイント(一部)

主なポイントは図のとおりです。フード内に照明を付けて、調理中の食材に光が当たるようにしたのは、「調理の手元が暗いと肉の色も、料理人が食材に落とす塩の量も分かりません。調理だけでなく、演出上も好ましくないと考えていました」(小松総料理長)との難点を改善するためだそうです。床の排水はグレーチングを露出させない施工です。「湿度が上がりづらくなります。衛生的で料理人にとって優しい環境は、食材にとっても優しい環境です」(小松総料理長)。フード内照明も、グレーチングを露出させない床も、全館の料飲施設に採用しています。

また、客席フロアには、壁埋め込み型のセラーに加え、高さ2820mm、前後左右のどこからでもストックしているワインが見える、4面ガラス張りの特注ワインセラーを中央に設置し、そこに高級ワインをストックしています。天井付近の開放感を阻害しないよう、冷媒配管は天井ではなく床下施工。また、夕日の美しいビーチに面していることから、紫外線をカットし、断熱性に優れた特別仕様の真空ガラスを採用し、特殊フィルム加工も施してワインの品質を守っています。

高さ2820mmの特注ワインセラー。幅も2200mmあります。ボルドーの5大シャトーや「オーパス・ワン」など、世界各地の高級ワイン240本をストックしています

2℃、3℃の違いにこだわり、「最適な調理」を常に追求

小松総料理長によると、琉球ホテル&リゾート 名城ビーチでは、メニューのフェアをあまり実施していないそうです。「集客目的のフェアをやらなくても、数多くのご利用と高いご評価をいただいていますので。その代わり、当ホテルでは常に、料理ごとに、より最適な温度や調理法を追求し、より高いレベルの料理をお出しすることに時間を使っています。そんな私どもの高い要求に、コンビオーブンがきちんと応えてくれます」と小松総料理長はおっしゃいます。

例えば、婚礼で提供するローストグリルは、カットしたテンダーロインを24時間マリネし、一定時間、常温に置いてから、今度は3時間、コンビオーブンで真空調理して火を入れているそうです。「肉の繊維質を軟らかくしながらしっかりと味を入れ、最後にグリルして風味を付けてお出しします。2℃、3℃の加熱温度の違いで、ナイフを入れたときに、繊維を切る"しっくり感"が違ってきます。私どもは、このわずかな違いにこだわっています。食感や触感の違いを生むための微妙なコントロールが必要な調理で、コンビオーブンの性能の高さを実感します」(小松総料理長)。

宴会厨房ではバリオの大容量パン(写真左)もご活用いただいています。「圧力調理をすれば、煮込みの時間は通常の5分の1で済みます。揚げ物は食材投入後の温度復帰が早いため、同じ色づきできれいに揚がります」(小松総料理長)

盛り付け動線ゼロの宴会厨房

琉球ホテル&リゾート 名城ビーチは沖縄県内最大級の宴会場を有しており、婚礼はもちろんのこと、大規模なビジネスイベントであるMICE(Meeting、Incentive Travel、Convention、Exhibition/Event)にも対応しています。大規模な宴会でも、料理を最高の状態でスピーディーに提供するオペレーションのための厨房レイアウト。これも小松総料理長の"自信作"の一つです。

宴会厨房には、ホット、コールド、ペストリー厨房と盛り付けエリアを隔てる幅15mの壁に、パススルー式の冷蔵庫と温蔵庫が埋め込まれています。そして、料理を受け取る盛り付けエリアは、食器類などを収納するコールドテーブルやドロワーが併設された、幅10mに及ぶアイランド型の盛り付け台が3列設置されています。それぞれの列は仕上げや盛り付けなどの工程に沿ってスタッフの役割が分かれており、次の列に料理を送るときは、振り向いて盛り付け台の上に置くだけ。歩く動作は必要ありません。

「温かい料理は温かく、冷たい料理は冷たく、最高の状態で素早くお出しするため、人の歩行動線をゼロにして、最短距離で提供できるレイアウトにしました。宴会場との仕切りであるロールスクリーン(下図写真④の右奥)を上げて、盛り付け風景を見えるように演出することもあります」と小松総料理長はおっしゃいます。

●宴会厨房の盛り付けエリア

琉球ホテル&リゾート 名城ビーチには約100人の料理人が所属しており、新卒者も積極的に採用しているそうです。「若い子たちには、『お金を払ってよそのホテルで食事をしてごらん。うちの強みが分かるから』と言っています」と小松総料理長。県内、県外、海外のゲストに驚きと感動を与えるメニュー施策などのマーケティング、現場経験をもとに作り込んだハード、そして、ハードと連動して料理をスピーディーに良い状態で提供するオペレーションなど、イノベーティブな取り組みの数々が日々の営業でさらに磨かれ、琉球ホテル&リゾート 名城ビーチにおける「強み」のレベルが一層高まっていきます。

鉄板ダイニング「Niji」のカウンターで小松総料理長。立ち姿でもコック帽がぶつからないフードの高さも、小松総料理長のご要望を設計に取り入れたものです

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施設名 琉球ホテル&リゾート 名城ビーチ
経営 株式会社ケン・ホテル&リゾートホールディングス
所在地 沖縄県糸満市名城963
ホテル開業 2022年7月
Webサイト https://ryukyuhotel.premierhotel-group.com/