お客様事例桜ヶ丘記念病院

ニュークックチル導入で、
効率化、人材確保、満足度アップを同時に実現

2025年12月に完成した桜ヶ丘記念病院の新棟。建設は、3年がかりの大プロジェクトでした

桜ヶ丘記念病院は、東京・多摩地区で「こころ」の領域の問題に対応する、地域の中核的精神科病院です。2025年12月に病院の新棟が竣工され、厨房をセントラルキッチン化。ニュークックチルシステムを導入しました。これにより、オペレーションの効率が一気に向上し、業務時間の大幅な削減に成功。苦労していた人材確保もスムーズに進むようになったそうです。ニュークックチルシステムを生かして業務の効率化を進められた道筋を伺いました。

新病棟建設を機に
セントラルキッチン化

桜ヶ丘記念病院は、1940年に東京多摩地区で開院して以来、「こころ」の領域の問題に対応する精神科専門病院として診療を行っています。病床数は405床、近年は精神科救急、アルコール関連障害、認知症や高齢者医療など専門的医療を提供しています。また法人として、特別養護老人ホーム桜ヶ丘延寿ホームなど病院の他に7施設の運営を行っています。

2施設の厨房を集約してセントラルキッチンに
桜ヶ丘記念病院、桜ヶ丘延寿ホーム、それぞれの施設にあった厨房を集約し、セントラルキッチン化を計画しました。現在は病棟、病院デイケア、特別養護老人ホーム、在宅サービスセンタ一、サービス付き高齢者向け住宅に食事を提供しています。職員の集約、食材の共同購入、献立作成などの大量調理施設でのスケールメリットを活かすと同時に、HACCPの概念に基づく衛生管理を構築し運用していくことを目指しています

桜ヶ丘記念病院新棟は2025年9月に竣工、12月に稼働しました。新棟建設を機に桜ヶ丘記念病院と桜ヶ丘延寿ホーム、それぞれで運用していた厨房を一元化し、セントラルキッチンとしてニュークックチルシステムを導入しました。

これにより、患者様、ご利用者様へ安心・安全な食事を提できるよう衛生管理の徹底を図ると共にオペレーション効率が向上しました。業務時間帯の削減や働きやすい労働環境を整えることで人材確保につなげ、持続可能な厨房運営を目指しています。

ニュークックチルシステムの流れ
病院給食における調理・食事提供のシステム別フロー。チルドの状態で盛り付け、食器ごと再加熱するのが、このシステムの特徴です

それまでの給食は、「毎食ごとに、調理して提供する」というシンプルな提供法で、「温冷配膳車もなく、昔ながらの保温食器で提供している状況でした」(食養部・本木里美部長)。ニュークックチルシステム導入に当たっては、全く知らないシステムで、現状とあまりにも違いすぎるので、不安もあったそうです。「前任の担当者が他の施設に見学に行くなどして情報を集め、検討を重ねました」と経緯を振り返られます。

ニュークックチルシステムとは、次のような仕組みです。

まず、芯温75℃以上で加熱調理した食品を急速冷却し、チルド保存(0~3℃)します。その温度の状態で盛り付け、専用機にセットして引き続きチルド保存します。設定時間になったら自動で再加熱を開始し、予定の時間に適温に仕上がります。

専用のカートの中でチルド保存し、自動で再加熱を開始、適温にする機器を「再加熱カート」といい、ニュークックチルシステムの柱となる機器です。「再加熱」とありますが、トレイの左右で温かい料理、冷たい料理を分けて適温に仕上げられます。これで、調理と配膳の時間を分けて、効率的な厨房運営に繋がります。

再加熱カート。盛り付けたトレイをカートにセットすると、設定時間に再加熱を開始。配膳時まで扉を開ける必要はありません
カート内は左右で「温」「冷」ゾーンに分かれており、「温かいものは温かく、冷たいものは冷たく」、仕上がります

再加熱が完了したらカートのまま搬送できるので、トレイの出し入れなどの手間が最小限ですみます。隣接する特養にも、カートごと運びます。

1回あたりの提供食数は、それまでの約400食から500食へと拡大しましたが、以前より少ないスタッフ数で運営でき、勤務時間帯も短くなっています。

効率的にトレイに盛り付けするため、コンベアを活用

新システム導入後、最も変わったのは朝食提供です。導入前の早番の出勤時間は5時30分でしたが、7時になりました。「朝食の時間は8時です。配膳の準備を始める7時に加熱が完了するようにセットします。再加熱カートに料理を入れるのは、前日の午後3時。これで作業終了です。早番のスタッフの出勤時にちょうど出来上がります」と本木部長。

計画的に作業を進められるため、「調理をしない日」を週に2日設け、さらに効率化を進められました。「料理は5日間保存できるので、1日に4~5食分を作り貯めしています。これにより休暇を取りやすくなりました」(本木部長)。また、土曜、日曜を少ない人数で運営できるようになり、週末に休めるようになりました。「これは労働条件上、大きな改善です」と本木部長はおっしゃいます。

アイドルタイムの削減にも取り組まれました。「以前は、食事の合間などに業務が発生しない時間がありましたが、現在は綿密に作業計画を立てることで、無駄な時間を減らせました」(本木部長)。その結果、全体の勤務時間の削減につながっています。

こうした効率化により、必要なスタッフ数も少なくなりました。「病院と特養の両方に厨房スタッフがおり、それぞれ400食、100食を提供していましたが、現在は、病院にいたスタッフ数より少ないくらいの人数で500食分の提供をスムーズに行っています」と、効果を話されます。

これらの結果、苦労していた人材確保がスムーズになり、パートスタッフの定着率も大きく向上しました。「食養部の一番の課題は人材確保でした。これが解消したのは何よりも大きな効果です」と本木部長。システム導入の成果は想像以上とおっしゃいます。

とはいえ、最初からすべて順調だったわけではありません。移行の際は、従来の方法での給食提供を続けながら、並行して新システムの研修を行いました。そのため時間の捻出に苦労し、間に合わせられるか心配だったそうです。「移行の時期は本当に綱渡りでしたが、3カ月ほどで軌道に乗りました。このシステムを導入して、給食を提供するという業務が、全く別物になりました。世界が変わったと言っても過言ではありません」(本木部長)。

温度管理システムで、問題発生時にも
迅速な原因確認と対応が可能に

セントラルキッチンでは、配膳後の洗浄などの工程も含め、それぞれに対応する機器があります。今回、桜ヶ丘記念病院で導入されたのは、fujimakのスチームコンベクションオーブンと盛り付けコンベア、再加熱カートなどシステムのベースとなる機器に加え、冷却・チルドコーナーで使用する機器を組み合わせ、トータルのシステムを設計しました。

桜ヶ丘記念病院のセントラルキッチン 作業の流れ
工程ごとにコーナー(部屋)が分かれており、派遣・パートスタッフはいずれかの部屋を担当します。各コーナーで行う業務は限定的で明確なので、指導もしやすくなり、「新しいスタッフの仕事の習得時間が、半月から1週間程度へと半減しました」と本木部長

「fujimakの担当の方はどんな製品についても知見が深く、質問すると自社製品以外のことにも的確に答えていただけるので、頼りになります」と本木部長。「土日に電話連絡するケースもあるのですが、すぐに対応していただけて本当に助かります」と、大きな信頼を寄せてくださっています。

温度管理システムも導入されています。調理室や盛り付け室、冷蔵・冷凍庫、再加熱などにおける温度変化をモニタリングするもので、保冷や調理のプロセスを自動で測定・記録します。記録データを保存するとともに、温度が設定から外れた場合にはアラートが出ます。

本木部長は、「プロセスをすぐに確認できること」が有効とおっしゃいます。「例えば、検食で違和感があったとき、担当が誰で、どのような温度変化があったかを追えるので、すぐに原因を調べられます。以前、パートスタッフによるスイッチの押し忘れがありましたが、そのときもすぐに原因が判明し、対応できました」(本木部長)

芯温はハンディの中心温度計で計測したデータを自動記録できます。「毎回手作業で記録するのは負担でした」(本木部長)。これが解消され、スタッフにも喜ばれています。

メニューの幅が拡大 
食べ残しが減り廃棄量が減った

メニューのバリエーションにも変化がありました。大きく変わったのが朝食です。

「以前の朝食は、常温のパンやサラダなど、簡単なメニューにせざるを得ませんでした。現在は全自動炊飯システムも導入したので、朝から米飯の提供も可能になり、目玉焼きなどの卵メニューも加えられるようになりました」(本木部長)

この日の朝食メニューは、米飯、ハム入りスクランブルエッグ、チキンサラダ、たらこ、牛乳。トレイ左側のメニューは温かく、右側は冷たい状態で提供します
米飯の提供に、fujimakの全自動立体炊飯機(ライスプロ)を導入されました。計量から洗米、給水、炊飯、機器内での釜移動まで全自動。指定した時間に自動で炊き上げます。炊飯が終わったら釜を取り出します

以前は朝食を残す患者様もいらして、一定の廃棄が出ていましたが、それが大幅に減りました。温かい料理のバリエーションも増え、美味しく召し上がっているようです。

「精神科の病院では入院期間が3年、4年、さらにそれ以上と長くなる場合もあるので、食事の質を上げることは課題であり願いでした」と、本木部長。

これからの取り組みテーマをお聞きすると、「朝食以外では、まだメニューの幅を広げられていないので、今後はメニューの拡充を考えていきたいですね」と、笑顔で結んでくださいました。

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施設名 社会福祉法人 桜ヶ丘社会事業協会 桜ヶ丘記念病院
所在地 東京都多摩市連光寺1-1-1
電話 042-375-6311
開所 1940年
診療科 精神科・神経科・内科・歯科
Webサイト https://www.swfsakura.or.jp/sakuragaokahp/