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外国人マネジメントのプロが教える 転ばぬ先の外国人スタッフ&ゲスト対応術 第3回

「外国人のお客様をどのように迎えればよい?」

最終回となる今回は、外国人のお客様へのおもてなしについて、初歩的な内容を中心にご説明します。東京オリンピック・パラリンピックなど世界的なイベントの開催で、多くのインバウンド(外国人旅行客)の需要が見込まれています。キャッシュレス対応を進めながら、「うちの店も対応できるようにならなくては」とお考えになっているお店は多いのではないでしょうか。

更新日:2020年02月27日

外国人のお客様を迎えるとなると、どうしても構えてしまう方も多いかもしれません。「英会話を習った方がよいですか。中国語も必要ですか」などとおっしゃる方もいます。しかし、あまり難しく考えないでください。結論を先にお伝えすると、「言葉をうまく話せることよりも、笑顔の方が大事。あとは、最低限のツールさえあれば、何とかなる」です。

外国語が堪能でなくても大丈夫

外国からのお客様は、お店のスタッフの語学力をチェックするために来店している審査員ではありません。メニューを注文して、快適な飲食の時間を過ごすために店を訪れるのです。お客様の側も、メニューを理解し、自分の注文や要望を伝えるために、「何とかしたい」と思っています。そこに必要な情報が提供できれば十分です。今は数十か国語に翻訳をするポータブルの機器が発売されていますし、スマートフォン用の翻訳アプリも普及しています。道具に頼れる部分は道具を活用すればよいと割り切りましょう。

逆に、会話だけで外国人のお客様への対応を完結しようと考えない方がよいと思います。言葉がつたなくても、互いに相手のことを理解しようとしているのですから、日本人のお客様に接客するのと同じく、何より大切なのはおもてなしの心であり、笑顔です。語学力の及ばない部分は、POPやメニューブックなど、ツールを使って補えばよいのです。

写真入りメニューに英語を添える

ただ、「これがないと始まらない」というのがメニューブックです。最低限、メニューの写真と、英語の説明を1文書いたメニューブックを用意しましょう。万国共通のメニューなら、メニュー名だけでOKです。メニュー名を英訳しただけでは理解しづらいと感じる料理は主な材料や調理法を簡単に添えます。
中国語やフランス語、スペイン語など、他の言語のメニューブックもあった方がよいのですが、少なくとも英語があれば大丈夫です。というのも、英語のメニュー名や説明書きがあれば、スマートフォンのアプリにその英語を入力して、自分の国や地域の言語に翻訳するアプリなどを利用している人が大勢います。英語を介して、中国語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語など、様々な国の言葉に翻訳が可能、というわけです。

こうした英語のメニューブックは、掲載するものを売れ筋に絞り込むのではなく、できればドリンクも含め、日本語の料理やドリンクをすべて掲載しましょう。というのも、例えば日本はカクテルやサワー類、ノンアルコールドリンクなど、メニューの種類が実に豊富です。「隣のグループが飲んでいるあのカラフルな飲み物は何だろう。試してみたい」と興味を持った外国のお客様に説明できるよう、全てを載せておくことが親切です。

特に、リピーターの外国人のお客様の中には、日本をより深く知り、楽しむために、様々なメニューを試したいと考えている方が多くいます。写真と英語の説明があれば、メニューを指差して、「This!(これ!)」で注文が成立する、というわけです。

料理オーダーのイラスト

「ゆっくり」「正確に」「はっきりと」話す

もちろん、主な接客用語を英語で話すことができれば、外国からのお客様との意思疎通はよりスムーズになります。日本に観光に来ている外国人は、日本の文化に興味があるのですから、基本的に「話しかけられたい」人たちです。ただ、英語が母国語でない人もいますので、英語でのコミュニケーションは「ゆっくり」「正確に」「はっきりと」話すのが基本です。

接客で使われることの多い英語を下記に挙げておきます。書ききれませんので、より詳しくお知りになりたい方は、インターネットで「接客英語」と入力して検索してみてください。会話例文を掲載したサイトがいくつも出てきます。音声付きのサイトもありますので、そちらを参考になさるとよいと思います。

基本の接客英語 その1基本の接客英語 その2

ある程度、基本的な英語を話すことができてもリスニングが苦手という方も多いと思います。これは、外国人のお客様から尋ねられることの多い質問(キークエスチョン)はおよそ決まっていますので、そこに含まれるキーワードの単語を聞き取るように注意するとよいでしょう。「What kind of 〇〇?」であれば、「kind」から種類を聞いているのだという具合です。聞き取れなければ、メモに書いてもらいましょう。それを読めば質問の意味が分かるはずですので、あとは答えとなる単語を英語で伝えれば通じます。よく出る質問には、写真やイラスト入りで分かりやすく説明したシートを作っておくのも良いと思います。互いに「何とかして言いたいことを伝えたい」のですから、大丈夫です。ぜひ慌てずに、そして笑顔をお忘れなく。

講師紹介

株式会社インディゴジャパン取締役会長
杉山秀一(すぎやま・しゅういち)
外国人専門の人材マッチングとインバウンドソリューションを手掛ける、株式会社インディゴジャパン取締役会長。1978年、慶應義塾大学経済学部を卒業後、株式会社丸井(現丸井グループ)入社。バイヤー、小田原店や渋谷店の副店長、新宿マルイワン初代店長、静岡店店長、総務部長、広報部長などを歴任。2016年、インディゴジャパンを設立、代表取締役社長。2019年6月より現職。2019年ホテレスJAPANインバウンドセミナー、(一社)ジャパンショッピングツーリズム協会・日本商工会議所共催 「オリパラ直前 訪日ゲストおもてなしセミナー」、日経BP「グローバル人材2018」セミナーなど、講師実績多数。

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