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厨房設計コンサルタントが教える繁盛店づくりの視点 第4回

【厨房設計】「My 厨房」こそ良い厨房

「良い厨房とは何か?」 長年にわたって厨房設計のコンサルタントをされている畑さんに、いよいよ今回は、新しい店をオープンする際の厨房設計の考え方に迫っていただきます。

更新日:2019年07月22日

新しい店をオープンする際は、厨房設計にも気合が入るものです。特にオーナーシェフの場合は、厨房は自身の“城”であり実力を発揮する舞台でもあります。「オープンキッチンにしたい」、「スタイリッシュな厨房にしたい」、「最新の機器を導入したい」など、様々な希望があると思います。 「良い厨房の条件とは何ですか?」 コンサルティング業に携わっていると、非常によく聞かれます。実は「良い厨房とは何か」は永遠のテーマでもあるのです。

お店の数だけ「良い厨房」はある

あえて言えば、「機能的で、愛着がもてる」ということになるのでしょうが、実は、そこに決まりはありません。厨房の価値は、それぞれの店で変わるからです。良い厨房は、スタイリッシュで格好いい厨房かもしれないし、コンパクトで作業効率の良い厨房かもしれない。オフィスや書斎などと同じく、何をもって良いとみなすかは十人十色で、私はお店の数だけ良い厨房があると考えています。

最近は、「この業態だからこういう厨房であるべき」といった固定概念も薄くなってきています。例えば恵比寿のある中国料理店は、オープンキッチンの中央に大きなテーブルがあり、周囲に火口を置いた和食の厨房のような造りで、料理の提供も和食や洋食のコース料理のようでした。また、別の中国料理店では、従来とは異なる全く新しいオペレーションの考えに基づいたオープンキッチンが設計されていました。様々なオペレーションコンセプトに合わせて計画していく必要がありますから、それぞれで設計の仕方がまったく違ってくるのです。

シェフが鍋をかき回す写真

料理、予算、要望は必ず伝える

新たにお店を作る場合は、厨房設計に関しても設計事務所やプランナーなどと話し合うと思います。その場合、遠慮をせずに自分の要望をきちんと伝えることが大切です。

店全体のコンセプトやメニュー構成、一番の売り物としたい料理、厨房スタッフの数などです。厨房に関する要望があれば、それもできる限り相手に分かりやすく伝えましょう。

さらに予算は隠し立てなくしっかりと伝えてください。これは店舗設計全体にも言えることですが、予算をはっきりと伝えることで、予算内でできること、できないことが明確になり、無理をしない店づくりを行うことができます。店の成長と共に、厨房のバージョンを上げていくのです。予算が潤沢であれば、すべてご自身の要望通りの厨房をつくるのも良いですが、背伸びせず「最初から100%を求めない」という選択肢もあります。

当社がコンサルティングを担当した独立開業のパティスリーは、オーナーと奥様の2人で営業する、コンパクトなお店でした。経営を効率化するためには、性能の良い厨房機器を導入するのが良いと考えましたが、資金が足りないというお話でしたので「経営が軌道に乗ってから」ということで導入を見送りました。

ただ、後からその機器を追加設置できるように、設置スペースや電気設備などは用意しました。実は、これが大きなポイントです。厨房設備や電源などは、後から工事すると新たに費用がかかってしまいますので、「追加でこんな機器を導入したい」と考えているのなら最初の時点でその環境を準備しておくのが賢明です。厨房もお店と一緒に育てていくのです。

レードルの写真

オーバースペックに注意

また、新規オープンの際は最先端の機器を入れたいという要望も多いのですが、設置スペースだけでなく、実際に稼働した時にどれだけの機器が必要なのかよく考えて、過不足なく機器をそろえることが大切です。

100席のレストランでも、一度に100食分それだけの料理を提供することは、まずありません。最低限、1テーブル(4人など)単位で同時に料理が出せれば良いわけですから、過剰投資には注意してください。

また、最近は初期投資を抑えるために中古の厨房機器を利用される方も多いようです。その場合、気をつけていただきたいのはメンテナンスについてです。厨房は、働きやすいことと同時に清掃しやすいことが大切です。中古機器はメーカーの保証期間が過ぎているものがほとんどのため、故障したときのリスクは大きいことを認識しておいたほうが良いと思います。

講師紹介

NRTシステム代表取締役
畑治(はた・おさむ)
1959年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学工学部を卒業後、フードサービス企業やフードサービスのコンサルティング企業などを経て、1988年に厨房設計コンサルティング業務を手掛けるNRTシステムに入社。2010年に代表取締役に就任。モットーは「日本の厨房を良くしよう!」

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