お客様事例こころの医療センター 五色台

厨房改装で最新機器を導入、面積33%増で提供食数は2倍

患者食を保存・運搬する冷温蔵配膳車は、32膳用が10台稼働中です。患者様の名前を記したカードの色で、常食、刻み食、ソフト食など、食形態の種別を確認できます

香川県高松市の医療法人社団五色会が経営する「こころの医療センター五色台」は、2025年5月下旬、増築・改装をした厨房での給食提供を始めました。拡大した厨房面積は従来の33%ながら、対応食数は従来の2倍に相当する約610食へと増えました。対応能力を大幅に引き上げることができた理由の一つに、大量調理に適した最新機器の導入が挙げられます。スペースの拡大を最小限に抑えつつ、オペレーションの効率化を図り、対応能力を高めた病院給食の厨房を、新規に導入した機器を中心にご紹介します。

患者様との対面ヒヤリングを続け、
常に「より良い食事」を追求

「こころの医療センター五色台」外観

医療法人社団五色会は、精神科領域を中心とする病院・診療所、社会復帰施設のほか、介護老人保健施設などの高齢者施設を経営・運営する、四国でも有数の医療法人です。1978年、香川県坂出市にグループの基幹病院的な存在である「五色台病院」(現「こころの医療センター五色台」)を開院。精神科領域の専門性の高度化やニーズの多様化に応じて、施設の新規開設や定員増加を図りながら、地域医療への貢献を続け、2025年10月現在、計11の医療関連施設を経営・運営しています。

最先端の治療と患者様に寄り添った医療サービスを提供している医療法人社団五色会では、患者様やデイサービス等の利用者様が楽しみにしている給食について、季節が感じられる食材を用いた献立や行事食などの提供に力を入れています。毎週木曜日は給食にうどんを提供しているほか、毎年2月には、地元で天狗伝説にちなんだ「天狗祭り」が行われることにちなみ、ご当地メニューの「天狗うどん」が登場します。ニンジン、サツマイモ、シイタケなど、10(テン)の具(グ)を載せたうどんです。「具材の種類が多く、調理のオペレーションは大変ですが、患者様はとても喜んでくださいます」と、調理主任の鎌田拓実様はおっしゃいます。

調理主任の鎌田拓実様

患者様の声に耳を傾け、改善に生かす取り組みにも熱心です。患者満足度調査で食事に関する満足度を尋ねる医療機関は珍しくありませんが、医療法人社団五色会の場合、毎月、複数の患者様に食事に対する感想やご要望を対面でヒヤリングしています。結果は管理栄養士や調理スタッフなどで共有し、新メニューの導入や食味の向上、サービスの改善につなげているそうです。

医療法人社団五色会では、グループ内で規模の最も大きな、280床のこころの医療センター五色台で調理した給食を院内や近隣の関連施設の患者様などに提供してきました。ただ、病院の定員増や関連施設の増加に伴って、2003年に約300食対応で設計した病院厨房も、対応食数を従来の約2倍に相当する約610食へと増やす必要が生じました。対応食数のアップに加え、衛生管理レベルの一層の向上、作業効率や作業環境の改善など、多くの観点から検討を進め、2025年5月下旬、改装工事を終えた厨房での食事提供が始まりました。改装前の厨房面積は300㎡。改装で100㎡分のスペースを増築しましたが、改装後の厨房面積は400㎡と、従来比33%増にとどまっています。

大量調理に適した最新機器で
オペレーションを効率化

こころの医療センター五色台の厨房は、調理工程の要所で、大量調理に適した最新の厨房機器を導入し、効率化を進めています。例えば、大型フライヤーを使っていた揚げ物調理には、連続フライヤーを採用しました。「以前は揚げ物調理をしているときはフライヤーの前から離れることができませんでした。これに対して連続フライヤーは、食材を投入すると油槽に入った食材がコンベアで自動搬送され、設定した時間で食材が揚がります。揚げ物をしている間に、並行して他の調理をすることができます」と鎌田主任はおっしゃいます。

従来からお使いいただいていた20段タイプのコンビオーブンは2台に増設。コンビオーブンは多彩な調理が可能で、蒸し物にも活躍します。こころの医療センター五色台では、先ほどご紹介したうどんの蒸し工程にもコンビオーブンをお使いです。ホテルパン1枚にうどんを16玉載せているため、機器増設により、600玉以上を同時に蒸すことができるようになったそうです。

電気式の連続フライヤー。右側から投入された食材は、コンベアで左側に運ばれます(写真)。コンビオーブンは2台に増設なさいました(写真)

また、衛生管理の向上と労務環境の整備を目的として、調理・配膳室の床はドライ仕様に変更しました。「茹でた野菜の粗熱取りはこれまで流水で行っていましたが、真空冷却機を採用して冷却時間の短縮を図っています。床に水が飛び散らなくなり、床が滑りにくくなりました」(鎌田主任)。炊飯は限られたスペースを有効活用するために、3段重ねが可能なガス式の自動炊飯器を導入しています。

ガス式の自動炊飯器が並ぶ調理・配膳エリアの床はドライ仕様です(写真)。ブレージングパンに代えて、100リットルのバリオ大容量パンも採用いただきました(写真)

さらに、対応食数が増えると、給食で使用・保管する食器の数も増えます。このため、食器洗浄の工程では、洗浄能力に優れたMEIKO(マイコ)社の高機能省エネコンベア洗浄機を採用しました。「洗浄エリアは室温が高くなりがちですが、空調を新しくしたこともあって、夏でも室温がそれほど上昇せず、スタッフの熱中症リスクを回避することができました」(鎌田主任)。

この洗浄エリアと調理・盛り付けエリアは、動線が交差しないレイアウトになっています。洗浄後の食器は、カートに入れたまま搬入・搬出が可能なパススルー式の消毒保管庫を新規導入し、望ましい動線を確保しながら作業性の向上を図っています。配膳後の食事は、冒頭の写真でご紹介したように、適温での保存が可能な冷温蔵配膳車などを使って病棟や近隣の施設に届けられます。

MEIKO社の高機能省エネコンベア洗浄機(写真左)。写真右がパススルー式の消毒保管庫です。カートに入れたまま消毒保管した食器は、配膳エリア側に設けた扉から取り出すことができます

fujimakは「一緒に悩み、
考え抜いてくれた」

最新かつ大量調理に適した機器類を効率的に配置して、最小限の面積増で対応食数の向上を図ったこころの医療センター五色台の厨房改装は、fujimakが設計と施工をお手伝いしました。 鎌田主任は、「fujimakの担当者が、細部にわたって親身になって一緒に悩み、考え抜いてくれたことに信頼感と安心感がありました」とご評価をくださいました。

「例えば、現場で働く私たちは、厨房の平面図を見ただけではイメージがつかみにくいですよね。そこで、fujimakの担当者に改装後の厨房の様子が分かる三次元のイメージ画面を作って見せてもらうなど、さまざまなリクエストをしました。こうした要望に丁寧に応えてくださり、感謝しています」(鎌田主任)

今後、こころの医療センター五色台の栄養・調理スタッフの皆さまは、より患者様に喜ばれる食事の提供に力を入れていきたいとおっしゃいます。「先日も、ヒヤリングとは別に、患者様から『久しぶりに野菜をたくさん食べました。今度、レシピを教えてください』というお手紙をいただきました。とてもうれしかったですね。この病院にはお子さんや若い患者様を対象とした児童思春期精神科の病棟もありますので、チリコンカンや鶏のレモン煮など、地域の学校給食で採り入れられているメニューも献立に加えていきたいと考えています」と鎌田主任はお話しくださいました。

調理主任の鎌田拓実様(左)と、管理栄養士で係長の大澤絵美様(右)

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施設名 こころの医療センター五色台
病床数 280床
経営 医療法人社団五色会
所在地 香川県坂出市加茂町963番地
病院開設 1978年9月
Webサイト https://goshikidai.or.jp/