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プロジェクト担当者に聞く 「The Okura Tokyo」が目指す最高水準の衛生管理 第3回

衛生管理と働きやすい環境を両立

2019年9月、ホテルオークラ東京 本館が、装いも新たにThe Okura Tokyo(ジ・オークラ・トーキョー)として開業しました。開発コンセプトは「伝統と革新」。その考え方は、新しくなった厨房設備や、HACCP対応の衛生管理にも当てはまるといいます。

この度、株式会社ホテルオークラ東京 洋食調理部で食品衛生管理を担当しておられる大塚勝様に、The Okura Tokyoで新たに導入したHACCP対応の衛生管理システムについてお話を伺いました。ホテルとして最高水準の衛生環境を提供するうえで、どのような点に気を配り、衛生管理のシステムを構築していったのか。インタビューの模様を3回にわたってお届けします。

更新日:2020年04月15日

The Okura Tokyoでは、「食のオークラ」として、お客様に安全で美味しい最高の料理をご提供するために、ハード面でも最高レベルの衛生環境の整備に努めました。

室温を一定に制御した、「暑くない」厨房

「厨房が暑くならないね」。The Okura Tokyoが開業してから、加熱エリアで働くスタッフたちからこんな感想を耳にするようになりました。厨房は蒸気が立ち込めたり、大火力で炒め物をしたりというように、室温や湿度が上昇しがちです。どちらも、細菌の繁殖を抑えるためには、好ましくない状況になりがちです。

The Okura Tokyoの主要な厨房は室温が一定値に制御されています。調理の排気を再循環させない天井排気のシステムを設置しました。調理で発生した熱気を吸い取って、新しい空気と置換します。スチーム料理をしたときなどに立ち上る湯気も天井換気システムが吸いますので、湿度の上昇が抑えられます。これが、衛生的な環境を保つことに貢献するだけでなく、調理に従事するスタッフたちの負担軽減にもつながっているわけです。

中国料理の厨房には、床面の自動洗浄システムを導入しました。床に近い位置にある壁の配管から床に向けて洗剤が噴射され、しばらくしてから温水を噴射するのです。床を衛生的に保つことはもちろん、油煙が床にとどまることがないため、転倒防止など、労働衛生の改善にも効果があります。床は完全なドライではありませんが、ドライキッチンに近い状態になっています。

食材の保管庫やワインセラーなどでは、室内にセンサーを取り付け、室温を一元管理しています。データはオンラインで衛生管理システムのコンピューターに転送され、急な温度や湿度の変化があると、警告が出るようになっています。これは、防犯の観点でも有効です。開くはずのない時間に保管庫の温度が上昇すれば、扉を開けて誰かが侵入したことになりますので。

パススルー冷蔵庫で交差汚染防止に一役

衛生管理では、食中毒などの原因になる汚染源を持ち込まないことが非常に重要です。当社ではこれまでも、食材の納入業者様へのインスペクション(立ち入り検査)を実施してきました。シェフと一緒に納入業者様の食材保管庫や加工場にお邪魔して、衛生的な環境で食材や食品を適切に取り扱っているかどうかについて、自分たちの目で直接、確認させていただくのです。食材の梱包用段ボールは納品口で外して、専用の通い函に移し替えてから保管庫に収納します。また、衛生管理は「手洗いに始まり、手洗いに終わる」と言われます。The Okura Tokyoでは、業者様用の手指洗浄機や靴底の洗浄機を、施設の出入り口から一番近い場所に設置しています。

魚介類、精肉、野菜類など、納入された食材は始めに下処理室で下処理を行います。下処理室から各厨房に食材を供給する冷蔵庫は、コンタミ(クロス・コンタミネーション=交差汚染)を防止するために、パススルー式になっています。

メインキッチンなど、主要な厨房の入り口には、エアシャワーを設置しました。エアシャワーを通らないと厨房には入れないようになっています。食品工場では一般的ですが、国内のホテルではまだ珍しいのではないでしょうか。ホテルでは火を入れない(加熱しない)メニューもお客様にお出ししています。体やユニフォームに付着しているホコリや菌類を落としてから調理に当たることで、安全性はより高まると考えています。

The Okura Tokyoの開発テーマは「伝統と革新」です。守るべきものは守り、変えるべきところは変えていくという意味です。これまでご説明したように、最新の機器やシステムを導入しながら、変えるべきところは変え、守るべきところは守りながら、より高い水準の衛生管理の実現を目指してきました。スタッフへの負荷を最小限にとどめながらも、衛生管理の観点で業務フローを見直し、調理工程の記録をコンピューターにエビデンスとして残すために、できる限りのことはしたつもりです。お客様に安全性の高い、最高の料理を提供できる環境を整えていくために、現状に満足することなく、衛生管理のレベルをさらに向上させていきたいと考えています。

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